潰瘍性大腸炎・クローン病
潰瘍性大腸炎・クローン病(炎症性腸疾患)について
炎症性腸疾患とは
潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)は、いずれも腸に慢性的な炎症を引き起こす 炎症性腸疾患(IBD: Inflammatory Bowel Disease)と呼ばれる病気です。 若年層に多く、国の指定難病にも分類されています。 当院では、内視鏡検査を中心にこれらの病気の早期診断と、継続的な管理を行っています。
潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis)
特徴
- 主に大腸の粘膜に炎症や潰瘍が生じます。
- 炎症は直腸から連続的に上行していくのが特徴です。
- 再燃と寛解を繰り返す慢性疾患で、長期的な管理が必要です。
主な症状
- 血便(鮮血を伴う便)
- 下痢・腹痛
- 発熱、体重減少
原因
原因は完全には解明されていませんが、 免疫異常、遺伝的要因、腸内細菌のバランスの乱れが関与していると考えられています。
検査
- 大腸内視鏡検査
- 血液・便検査
- 腹部CT
潰瘍性大腸炎の診断は症状などから疑い、内視鏡検査を行い、内視鏡所見と病理結果を元に診断します。
治療
- 5-ASA製剤(メサラジンなど)
- ステロイド
- 免疫調整薬や生物学的製剤
- 外科的手術(重症例)
クローン病(Crohn's Disease)
特徴
- 消化管のあらゆる部位に炎症が起こる可能性があります。
- 特に小腸末端と大腸に好発します。
- 炎症はスキップ病変(非連続性)として現れるのが特徴です。
主な症状
- 右下腹部の腹痛
- 下痢(血便は比較的少ない)
- 体重減少、微熱、痔瘻などの肛門病変
原因
潰瘍性大腸炎と同様に、免疫異常、遺伝的素因、腸内環境の乱れが関与していると考えられています。
検査
- 内視鏡検査
- カプセル内視鏡検査
- 血液・便検査、CT・MRIなど
クローン病の診断は潰瘍性大腸炎と同様に症状などから疑い、内視鏡所見、病理結果を元に診断します。
治療
- 5-ASA製剤(軽症例)
- ステロイド、免疫調整薬
- 生物学的製剤(抗TNF-α抗体など)
- 外科的治療(狭窄・瘻孔などの合併症時)
生活への影響と注意点
潰瘍性大腸炎やクローン病は、10代~30代に多く発症し、 学業や仕事、家庭生活などへの影響が大きい慢性疾患です。 症状が安定している寛解期を維持するには、規則正しい生活、ストレスの軽減、食事の工夫が重要です。
特にクローン病では、高脂肪食やアルコール、喫煙が病状を悪化させることがあるため、生活習慣の見直しが欠かせません。
当院の対応
当院では、潰瘍性大腸炎・クローン病に対する専門的な診断・治療を行っています。大腸内視鏡検査、血液・便検査に加え、必要に応じて専門機関とも連携しながら、 患者さまのライフスタイルに合わせた個別の治療方針を提案いたします。
まとめ
潰瘍性大腸炎・クローン病は、早期発見と適切な治療によって寛解状態を維持できる疾患です。 症状などから炎症性腸疾患を疑い、内視鏡を行わなければ診断が遅れてしまうことも多々あるため、 下痢や血便、慢性的な腹痛が続く方は、ぜひお早めにご相談ください。