ピロリ菌除菌後も検査が必要な理由
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、胃炎や胃潰瘍、胃がんなどの原因となる細菌として広く知られています。 現在では多くの方が除菌治療を受けるようになり、「ピロリ菌を除菌したからもう安心」と考えている方も少なくありません。
しかし実際には、ピロリ菌を除菌した後でも定期的な検査が重要です。 特に胃がんの予防や早期発見のためには、継続的なフォローが欠かせません。
本記事では、消化器病専門医・内視鏡専門医の立場から、ピロリ菌除菌後に検査が必要な理由や、どのような検査を受けるべきかについて詳しく解説します。
ピロリ菌とはどんな細菌?
ピロリ菌は胃の粘膜に感染する細菌で、日本では中高年の世代を中心に感染者が多くみられます。 感染すると慢性的な胃炎を引き起こし、長期間の炎症が続くことで胃粘膜が傷つき、さまざまな病気の原因になります。
ピロリ菌が関係する主な病気
- 慢性胃炎
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
- 胃がん
- 胃MALTリンパ腫
特に胃がんとの関連は非常に強く、日本人の胃がんの多くがピロリ菌感染に関連していると考えられています。
ピロリ菌除菌治療とは
ピロリ菌の除菌治療は、胃酸を抑える薬と抗菌薬を組み合わせた薬剤を1週間程度内服します。 ピロリ菌検査陽性であることと、胃カメラでピロリ菌の感染が疑われる場合は保険診療で受けることができ、多くの方が治療を受けています。
除菌が成功すると、胃炎の改善や胃潰瘍の再発予防が期待でき、胃がんの発症リスクも低下すると報告されています。
しかしここで重要なのは、「リスクがゼロになるわけではない」という点です。
除菌後も胃がんのリスクが残る理由
① 胃粘膜のダメージは完全には元に戻らない
ピロリ菌感染による慢性胃炎は長期間続くことが多く、胃粘膜に萎縮や腸上皮化生と呼ばれる変化が起こることがあります。
これらの変化は胃がんのリスクを高める状態と考えられており、除菌後も完全に元の状態に戻るわけではありません。
② 除菌後胃がんの存在
近年、「除菌後胃がん」と呼ばれる胃がんが注目されています。 これはピロリ菌を除菌した後に発生する胃がんで、比較的発見が難しいことがあるため注意が必要です。
③ 年齢が高いほどリスクが残る
長年ピロリ菌感染が続いていた方ほど胃粘膜のダメージが大きく、除菌後も一定の胃がんリスクが残る可能性があります。
除菌後に受けるべき検査
胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)
除菌後のフォローとして最も重要なのが胃カメラ検査です。
胃カメラでは以下のような評価が可能です。
- 胃粘膜の萎縮の程度
- 腸上皮化生の有無
- 早期胃がんの発見
- ポリープなどの病変
- 胃潰瘍等の炎症の有無
早期の胃がんは症状がほとんどありません。 そのため定期的な内視鏡検査が早期発見の鍵となります。
どれくらいの頻度で検査を受けるべき?
胃の状態によって異なりますが、一般的には1〜2年ごとの胃カメラ検査が推奨されています。
特に以下の方は定期検査が重要です。
- 胃粘膜の萎縮が強い方
- 腸上皮化生がある方
- 家族に胃がんの既往がある方
- 50歳以上の方
除菌後に注意すべき症状
以下の症状がある場合は、早めに消化器内科を受診しましょう。
- 胃痛
- 食欲不振
- 体重減少
- 黒い便(タール便)
- 吐き気や嘔吐
これらの症状は胃がんや胃潰瘍などの可能性があるため、早めの検査が重要です。
ピロリ菌除菌後こそ胃カメラが重要
「除菌したからもう安心」と思われる方も多いですが、実際には除菌後の定期検査こそが胃がん予防の鍵となります。
ピロリ菌除菌も大事ではありますが、定期的な検査こそが早期発見、早期治療につながるため最も大切であると考えます。
胃がんは早期発見であれば内視鏡治療で治癒する可能性が高い病気です。
そのため、症状がなくても定期的な胃カメラ検査を受けることが大切です。
まとめ
ピロリ菌の除菌は胃がん予防にとって非常に重要ですが、除菌後も一定のリスクは残ります。
胃粘膜の変化を定期的に確認し、早期の病変を見逃さないためには、定期的な胃カメラ検査が不可欠です。
鶴見小野駅前内科・内視鏡クリニックでは、消化器病専門医・内視鏡専門医が丁寧に胃の状態を評価し、必要に応じて定期検査をご提案しています。
ピロリ菌除菌後のフォローや胃カメラ検査について気になる方は、お気軽にご相談ください。
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