急性膵炎
急性膵炎は膵臓に急激な炎症が起きる疾患で、激しい上腹部痛や嘔吐、発熱を引き起こします。軽症なら数日で回復することもありますが、重症では多臓器不全に至り、迅速で専門的な治療が必要です。原因・症状・診断・治療・予防まで、わかりやすく解説します。
膵臓の役割と急性膵炎の概念
膵臓は胃の後方に位置する長さ約15cmの臓器で、消化酵素(外分泌)とホルモン(内分泌)を分泌する二つの重要な機能を持ちます。急性膵炎では膵酵素が膵臓内で活性化され、自らの組織を消化してしまうため、周囲臓器へ波及する炎症や全身性の合併症を引き起こすことがあります。
1) 主な原因
急性膵炎の原因は多岐に渡ります。日本で頻度が高いものを中心に列挙します。
- アルコール性:男性に多く、頻回または大量飲酒により発症します。再発や慢性化のリスクが高い。原因としては一番多いです。
- 胆石性:胆石が胆管乳頭部で詰まることにより膵液の流出が阻害され発症します。高齢者・女性に多い傾向があります。
- 高トリグリセリド(高TG):血中中性脂肪が著増(特にTG≧1000 mg/dL)すると膵炎を誘発します。
- 薬剤性:免疫抑制薬、利尿薬、抗生物質の一部などが原因となることがあります。
- その他:外傷、ERCP後、代謝異常、感染症、特発性(原因不明)など。
2) 症状の特徴
代表的な症状は以下です。
- 激しい上腹部痛(みぞおち付近) — 背部へ放散することが多い。
- 吐き気・嘔吐、食欲不振。
- 発熱、腹部膨満。
- 重症例では低血圧、呼吸不全、意識障害などの全身症状(多臓器不全の兆候)。
3) 診断のポイント
急性膵炎は下記の3つの項目のうち2つ以上があれば診断されます:
- 上腹部の典型的な疼痛
- 血液検査での膵酵素上昇(アミラーゼ、リパーゼ)
- 画像検査での膵の炎症所見(腹部CT、超音波、MRCPなど)
画像検査は膵の腫脹、周囲の炎症、壊死の有無を評価するうえで重要で、造影CTは重症度評価にも役立ちます。
4) 重症度判定と経過
急性膵炎は軽症から重症(壊死性膵炎、多臓器不全)まで幅があります。重症度判定では、血圧、呼吸状態、腎機能、炎症マーカー、画像所見(壊死の有無)などを総合的に評価します。重症膵炎では集中治療室での管理、機械的人工呼吸、腎代替療法や血液浄化療法が必要になることがあります。急性膵炎は命に係わる疾患であり、早期に診断し、早急な対応が大切です。
5) 治療の基本方針
治療の基本は「膵を休ませること」と「全身管理」です。主要な治療項目は以下の通りです。
- 絶食と十分な静脈輸液:膵酵素分泌を抑え、循環動態を維持します。
- 疼痛管理:強い痛みを適切にコントロールすることは治療の重要な一部です。
- 原因治療:胆石性の場合は早期のERCP(内視鏡的乳頭括約筋切開や結石除去)を検討します。
- 栄養管理:腸管機能が保たれていれば早期経腸栄養(経口あるいは経管)を行うことが推奨されます。長期絶食が必要な場合は静脈栄養が検討されます。
- 感染・壊死が疑われる場合:感染性壊死には抗菌薬やドレナージ、必要時の外科的/内視鏡的デブリードマン(壊死組織の除去)が必要になります。
6) 合併症と長期予後
重症化した場合の合併症としては、膵壊死、感染性膵壊死、偽嚢胞、多臓器不全があります。重症膵炎は長期入院や命に係わる疾患であり、死亡率は以前に比較すると大きく改善されていますが、6.1%となっています。
7) 予防のポイント
- 飲酒を控える(禁酒・節酒)は最重要です。
- 高トリグリセリド値の管理:食事療法・薬物療法を行いましょう。
- 胆石が確認された場合は医師と適切な治療計画を立てること。
8) 当院での対応(鶴見小野駅前内科・内視鏡クリニック)
当院は消化器病専門医が、膵疾患の初期診療と精査を行っています。
- 迅速な血液検査(アミラーゼ・リパーゼ等)によるスクリーニング
- 腹部超音波検査による胆石・膵腫大の評価
- 必要に応じて近隣基幹病院へ速やかに紹介し、入院管理・集中治療やERCP等の高度治療へつなげます
- 再発予防のための生活指導(飲酒・栄養指導)や慢性膵炎化予防のフォローアップ
※急性膵炎が疑われる場合は基本的には緊急で精査し、入院による治療が必要です。まずはすぐにご相談ください。
9) よくあるご質問(FAQ)
- Q. 飲酒はどの程度が安全ですか?
- A. 個人差がありますが、急性膵炎の既往がある方や脂質異常がある方は禁酒が推奨されます。習慣的に多量飲酒される方はまず禁酒を検討してください。
- Q. 再発したらどうなりますか?
- A. 再発を繰り返すと慢性膵炎へ進行するリスクが高くなります。原因対策(禁酒・胆石治療・脂質管理)が重要です。
まとめ
急性膵炎は軽症で済むことも多い一方、重症化すると命に関わる危険な病気です。強い上腹部痛や嘔吐、全身状態の悪化がある場合は速やかに医療機関を受診してください。鶴見小野駅前内科・内視鏡クリニックでは、消化器病専門医が迅速・丁寧に診察・検査し、必要時には高次医療機関と連携して最適な治療を提供します。
